HIVとHCV重複感染者に対する臓器移植の現状

臓器移植

日本臓器移植ネットワークとは

日本臓器移植ネットワーク(JOT)は、臓器を提供したい人(ドナー)と臓器移植を希望する人(レシピエント)をつなぐ、日本で唯一の組織です。

臓器の機能低下により移植以外に治療の方法がない方に対し、脳死後または心停止後に臓器の提供をしても良いという方の善意で成り立っています。一方、生体移植は、親族から提供されるため、JOTは関与しておらず、移植を行う医療機関と患者さんの間で行われる移植です。

移植臓器が不足している

臓器移植を希望する人は、JOTに移植希望登録を行い自分にマッチした臓器が提供されるのを待つことになります。平成27年4月30日現在、腎臓を希望している人が最も多く12,688人、次いで心臓と肝臓が約400人、肺、すい臓、小腸の全臓器合計で約14,000人が臓器提供を希望し登録しています。

それに対し、JOTを介して2014年に行われた移植件数は、たったの253件でした。移植臓器の需要と供給は、全くと言って良いほど釣り合っていません。そのため、どの臓器を誰に移植するかは、非常に難しい問題です。

臓器を提供する意思を伝えるには

では、臓器の提供は、どのようになされるのでしょうか。死後に提供するわけですから、臓器提供の意思があるかどうかは、生前に表明しておかなければなりません。書面で臓器提供の意思表示をしておくことが原則ですが、意思表示をしていない場合や不明な場合でも、家族が承諾すれば臓器提供ができるようになりました。

インターネットによる登録、健康保険証や運転免許証の意思表示欄および、意思表示カード・シールへの記入によって意思表示することができます。亡くなった後に救える命があるということに、まず関心を持つことから始めなければなりません。しかし残念ながら、HIV感染者は、臓器提供者になることはできません。

HIV感染者と臓器移植

一方、HIV感染者も臓器移植を受ける可能性はあります。HAART療法が普及し、エイズによって亡くなる方が減少しHIV感染者の寿命も延びています。そのため、他の合併症を発症する方が少なくありません。

例えば、HIV感染者では腎機能に障害がおこりやすく、慢性腎不全の原因となることが報告されています。また、薬害でHIVに感染した方では、C型肝炎ウイルス(HCV)に重複感染している方が約9割に上り、HIV治療薬による肝障害も併せて、肝硬変に進行する方が多くいます。

そのため、HIVとHCV重複感染者に対する臓器移植の優先順位が、2012年に引き上げられたという経緯があります。2014年12月には、40代の男性が脳死肝移植を受け社会復帰を果たしています。

HIV感染者の臓器移植の問題点

臓器移植の際には、拒絶反応を抑えるために、強力な免疫抑制療法が行われます。そのため、HIV感染者に対する臓器移植には、エイズに進行するリスクや、他の感染症の合併など、様々な問題点があることは確かです。

しかしながら、今後HIV感染者に対する臓器移植数が増加し、また移植前後の対策の普及により、その有効性と安全性が蓄積されていくこととなるでしょう。HIV感染者に対しても、臓器移植が治療の新しい方法のひとつとなる日がくることでしょう。

自宅で性感染症の検査が出来ます


医療機関の検査委託先である「登録衛生検査所」が性感染症の郵送検査事業を実施しています。自宅で医療機関と同じ検出精度/高信頼性の検査が出来る様になりました。

関連記事

ページ上部へ戻る