抗HIV薬のジェネリック医薬品を後発開発途上国が輸入できる理由!

ジェネリック医薬品

製薬会社の知的所有権は両刃の剣

1980年代、エイズは死に至る病気として世間を騒がせ、その衝撃は今でも尚、偏見として残っています。しかし、実は、その後の製薬会社のHIV/エイズ治療薬の開発はめざましく、今ではHIVに感染した方の寿命は、そうでない人とほとんど変わりません。

ただ、製薬会社の新薬の開発にかかる費用たるや、莫大なものです。多くの製薬会社は、コピー薬(ジェネリック医薬品)の製造販売によって、その利益が侵害されないために、薬品の製法には知的所有権(特許権)を持っています。

世界保健機関(WTO)では、ジェネリック医薬品の製造、販売に対し「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs協定)」を取り決め、この知的所有権を守る特許制度を認めています。

そのため、ある一定期間を過ぎない限り、ジェネリック医薬品を製造するには高額な特許料を払わなければならず、発展途上国などでは高価なHIV/エイズ治療薬が手に入りにくい状況でした。

TRIPs協定の条件付き緩和―生きる権利を守る

サハラ以南アフリカ諸国の総人口は、世界の総人口の約10%に過ぎないにもかかわらず、世界のHIV/エイズ感染者の約70%が集中しています。エイズ治療には一人当たり4000から9000ドルが必要とされていますが、サハラ以南アフリカ諸国のような後発開発途上国では、1人当たりの年間実質所得は1000ドル程度とされており、高額な抗HIV薬の使用などは出来るはずもありません。

そこで、南アフリカ共和国では、2001年4月にジェネリック医薬品を輸入できるように自国の法改正を行ったところ、TRIPs協定に違反していると訴えられました。しかし、HIV/エイズ感染者の生きる権利をめぐる論争から、2001年11月、WTOの閣僚会議において、エイズなどの感染症に苦しむ国が、HIV/エイズ治療薬のジェネリック医薬品を安価に入手できるような対策を講じることが宣言(ドーハ宣言)され、抗HIV薬の使用に門戸が開放されました。

生きる権利と知的所有権とのせめぎ合い

ジェネリック医薬品サハラ以南アフリカなど後発開発途上国のように安価なジェネリック薬を輸入する国と、ジェネリック医薬品を製造して輸出するインドなど新興工業国の製薬業者と、新薬開発を担う先進国の知的所有権のそれぞれの権利を守りつつ、人道的な配慮に基づく公共性も守っていく必要があります。

そのために、輸入国は、輸入する必要性や輸入量など予め届出をすることが定められています。更に、輸入したものを再輸出することは禁じられています。輸出国は商業的な利益目的での輸出は許されておらず、全量が輸出国向けであり、特別な包装等も義務付けられています。

この他、様々な規定を設けて、後発開発途上国への医薬品の提供が許されたわけです。しかしながら、こうした様々な規定に反してジェネリック医薬品を製造・輸出する新興工業国が後を絶たないというのも事実です。

このようなことで、莫大な費用をかけて新薬開発を進めている先進国の製薬会社の技術革新が閉ざされないよう、様々な対策が講じられていくべきです。そして、後発開発途上国と新興工業国と先進国の製薬会社との間で、バランスが保たれ、エイズ治療が滞ることなく進むことが、全世界のエイズ対策となることでしょう。

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