妊娠初期にHIV検査を受ける理由とは?胎児への感染率は?

妊娠初期

どうしてHIV検査が必要なの?

平成22年以降、日本全国の病院で、妊娠初期のHIV抗体検査が行われるようになりました。抗体とは、ウィルスや病原菌などに感染した際、体内で作られるタンパク質のことを指し、一度でも感染すると、一生体内に存在し続けます。
 
つまり、抗体があるということは、「過去に感染したことがある」ということを意味し、現在症状があるかどうか、病気であるかどうかとは関係ありません。
 
例えば、感染して数日で症状が出る病気(水疱瘡やはしかなど)は、病気が治った後に抗体が作られ、血液検査をすれば、抗体は陽性(+)と出ます。しかし、HIVやC型肝炎など、感染しても症状が出ない病気の場合、本人が知らないうちに感染し、血液検査の結果が陽性(+)と出ることがあるのです。
 
HIVの抗体が陽性(+)だからと言って、必ずしも症状が出るわけではありませんし、必ず胎児に感染するわけでもありません。正しい治療をすることで、胎児への感染リスクは最小限に抑えられます。そういった意味で、妊娠初期のHIV抗体検査はとても重要と言えるのです。
 

赤ちゃんへはどういうルートで感染するの?

母子手帳200
HIV抗体は、血液、精液、膣分泌液、母乳に含まれています。妊娠中、胎児が必要としている酸素や栄養素は胎盤を通じて胎児に送られますが、通常は血液が混ざり合うことはありません。ですから、妊娠中の血液を介しての感染については、ほとんど心配する必要はありません。
 
分娩の際には、経膣分娩(産道、膣を通って生まれて来る、いわゆる普通のお産)であれ帝王切開であれ、赤ちゃんが母親の血液に触れる危険性はあります。ですから、どちらの場合も、感染のリスクはゼロではありません。
 
ただし、長年の間、HIV感染者の分娩は、帝王切開の方が安全だとされてきました。日本では、現在もそのような方針がとられていますが、欧米では、抗体価が一定の数字より低い場合、その感染率に違いはないとして、経膣分娩が行われています。また、母乳に関しては、感染のリスクが上がるとして、人口ミルクが推奨されています。
 

胎児への感染率は?

アメリカにおける統計によりますと、まだ今のような治療法が確立される以前、つまり、薬の服用がない状態で、母から子への感染率(垂直感染率)は20%でした。治療法が確立された現在では、感染率は2%まで低下しています。
 
また、2012年にアメリカのパーマー教授らによって行われた研究によりますと、母乳育児を行った母親から子への感染率は、たったの10%だったとのことです。HIV感染者の母乳には、HIV抗体の他に、HIVの感染を抑える新たな細胞が存在することが、この研究によって明らかになりました。
 
今後、更にこの新しい細胞に関する研究が進めば、感染率を今以上に抑えられるようになることが期待されています。
 

妊娠中の服薬は安全?

妊娠初期にHIVに感染していることが分かった場合、すぐに抗HIV薬の内服が開始されます。分娩中は、場合によっては注射や点滴による与薬も行われ、産後は、赤ちゃんに対する薬も開始されます。
 
妊娠中の服薬によって、母体のHIV抗体価を下げることが出来るため、HIVの影響力が弱まり、従って感染のリスクも下がります。また、薬は胎盤を通って胎児にも送られるので、分娩の際の感染のリスクを低くすることが出来ます。
 
抗HIV薬が胎児に与える悪影響に関しては明らかになっていませんが、抗HIV薬を服用しない場合の悪影響は明らかになっています。それはずばり、感染のリスクが大幅に上がることです。未知の危険を回避することよりも、今ある危険を回避することを優先すれば、薬の服用は必須であると言えます。

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